校長挨拶 Greeting

城西川越中学校・城西大学付属川越高等学校 校長渡辺 聡

理念を貫き、次の50年へ
 本校は、1972年4月、環境秀抜な川越の地に開校され、2022年には高校創立50周年、中学創立30周年を迎えることができました。50年有余の歳月は、校内を見守るように取り囲むネズミモチ、古川沿いのカシやヒマラヤスギ、そしてそびえ立つケヤキなどの生長に見ることができ、大変誇らしい気持ちになります。「個性ゆたかな文化の創造」を念願した建学の精神、個人の特性を生かす教育理念は、個性を尊重し多様性を重視する今の社会と調和し響きあっています。
 本校は創立から、在校生はもとより卒業生、保護者の皆様、地域の方々のご理解とご協力のもとで歴史を重ねてまいりました。埼玉県私立学校の男子教育においては一日の長があると自負しております。今後さらに城西川越は、これまで関係した皆様とこれから関係する皆様への敬意と感謝、そして次の50年に向けた決意のしるしとして、何ができるでしょうか。昨今の複雑な入試形態や教育の流行を理解しつつ、日々の地道な指導を軽視しないこと。本校が先駆的に積み上げてきた財産を大切にしながら、さらに磨きをかけ進化を続けること。創立者と開校時の先生方のマインドを忘れずに、城西川越クオリティーを社会に保証すること。これらによって私たち教職員が校是である「報恩感謝」を実現させることができると思っています。
21世紀でも変わらぬ羅針盤
 科学・技術が驚異のスピードで発達し、歴史の違う国々の多様な価値観が交錯するなかで、「よりよい人生の羅針盤」を与えることは困難を極めます。今までの出会いとそしてこれからの出会いを大切にし、偏り無くいろいろなものに触れ、感じ、考え、自分で「その羅針盤」を探し出す以外に方法はないでしょう。
 さて、城西川越学園の校是である「報恩感謝」は、1972年学園創立者の新藤富五郎先生が定めたものです。正門から入って生徒玄関の右側に「報恩感謝(新藤富五郎 書)」の碑があります。私たち教員も生徒も、ことさらに校是を意識して学校生活を送っているわけではありませんが、通奏低音として確かに響いています。この校是が、私たち教員が新しいカリキュラムをつくるときや生徒が悩み立ち止まったときに、針路(進路)を決める羅針盤になっていることは間違いありません。
 「報恩感謝」は、自分が周囲に生かされている感覚をもつこと、森羅万象・自然とのかかわりのなかで生きている感覚をもつこと、「有り難い」という幸運を意識することなど、人を謙虚にさせる力を持っています。2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みにも通じる考え方でもあります。
勉強を続けて行くために
 どんな学問でも、「そうだったのか・・・と分かる瞬間」は、知的興奮と爽快感があります。勉強していくにつれて「視野がひろがる感じ」、それから “この考え方はきっと何かに使えるぞ”と思う「役立つ感じ」、これらは勉強を継続するうえでとても大切な感覚です。
 時代は“難しいことを堪え忍んで勉強する”といったスタイルの変革を要求しています。「若いときの苦労は買ってでもせよ」は、ある局面では正しい。しかし、学芸、スポーツ選手の開花などについての見聞から、若い時は少しずつ成功を積み重ねながら自信を育てていくこと、そして自分の進む道につねに楽しさを見つけ意欲を持続させていくことが重要なのではないかと思います。自信と意欲を高め、自分を元気に保つことが、勉強するうえで決定的に大切なことだと思うのです。
予測できない未来でも
 さて、皆さんの思い描く学園生活とはどのようなものでしょうか。学業に勤しみ、クラブ活動に励む毎日でしょうか。学校行事の成功の為に頑張る姿でしょうか。本校は、そのどれにも積極的に取り組むことを推奨しています。それが教育方針です。先輩たちも当たり前のように一生懸命に取り組み、伝統と校風をつくってきました。予測できない未来でも「自分が自信と誇りをもって生きられる」ように基礎体力を養うことが、中学・高校での目標の一つでもあります。

笑いあり涙あり、
悩みあり悟りあり、
つばくみありへこみあり。

 皆さんの学園生活が、そのような豊かな感情と多くの体験で彩られることを願っています。

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